つわり

つわりは妊娠5週目頃から始まり、約4~6週間のうちに自然に消えていく悪心・嘔吐を指します。朝の起床時や朝食後に起こることが多く、英語でも“morning sickness”と言われます。個人差はあるものの、悪心・嘔吐に伴って食欲不振や嗜好の変化が生じるため、特に初産の妊婦さんにとっては不安でつらい症状に感じられることでしょう。

東洋医学では、つわりは妊娠によって月経が停止すると衝脈の気が高ぶり、胃気の和降作用が失調して胃気が上逆することで生じると考えます。悪心・嘔吐を軽減させる特効穴として有名なのが「内関(ないかん)」です。

このツボには降逆止嘔・開胸理気の効能があり、術後の化学療法や車酔いによる悪心・嘔吐にも使用されることがあります。この内関に貼るタイプの鍼で持続的に刺激を与える方法もありますが、普段は指での押圧でも結構です。左右の内関を心地良い力加減で押圧を繰り返し、これを1日に朝昼晩の3回ほど刺激する。これを数日続けていくうちに胃気の働きが高まり、症状が楽になってくる可能性があります。内関には気持ちを落ち着け、睡眠を良くするツボ効果も期待されますので、妊婦さん以外の方でも試してみてください。

 

 

【紹介するツボ】

内関

 

内関(ないかん) 手の厥陰心包経

 ⇒前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸。

(手首を曲げると、前腕前面の中央に2本の腱が見られます。この腱と腱の間で、手首の横しわから指3本分上方に位置します。)   

※2020年2月号「胃腸のもたれ」に掲載

hokkaido-shinkyu.hatenablog.com

 

 

author:工藤 匡(鍼灸科学科長)

※暮らしと健康の月刊誌「ケア」2022年5月号に掲載された原稿です。