脚のだるさ

新型コロナウイルスの変異株への不安から外出を控え、運動不足によって脚の不調を感じやすくなっていませんか。今回は「脚のだるさ」について東洋医学の視点から捉えてみたいと思います。

下腿の前面にある前脛骨筋には、歩行時に踵が接地する際に足首を反らし、つま先を持ち上げる作用があります。歩行量が減るとこの筋肉の筋力が低下し、脚のだるさを感じやすくなります。前脛骨筋が弱くなると、つま先を地面に引っ掛け、転倒につながることがあるため注意が必要です。東洋医学では、脛の前外側を「足の陽明胃経」という経脈が流れると考えます。この経脈は名前の通り、胃との関連が高く、消化器系の不調の際に反応が現れやすくなります。前脛骨筋の上を流れる足の陽明胃経に属する有名なツボが「足三里」です。このツボには「健脚」、「健脾和胃」、「補気」といった作用があり、まさに万能のツボと言えます。かの松尾芭蕉奥の細道のなかで“灸をすゆる”と謳っている足三里。ふくらはぎのツボと併せて、普段から養生の意味でも足三里への刺激を試してみてください。痛気持ちよいくらいの力での押圧が効果的です。

 

足三里(あしさんり)  足の陽明胃経  

  ⇒下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸。

 (膝蓋骨の先端の下にコリコリする膝蓋靭帯があり、その両脇に陥凹部があります。外側の陥凹部にあるツボを犢鼻〔とくび〕と呼びますが、この犢鼻から指4本分下の部分で、すねの骨の外縁に触れる筋肉〔前脛骨筋〕の部分に本穴が位置します。)

 

②承筋(しょうきん)  足の太陽膀胱経  

 ⇒下腿後面、腓腹筋の両筋腹の間、膝窩横紋の下方5寸。

 (膝裏の横しわから指7本分下の高さで、ふくらはぎの最も膨らんだ部位、腓腹筋の中央に本穴が位置します。) 

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author:工藤 匡(鍼灸科学科長)

※暮らしと健康の月刊誌「ケア」7月号に掲載された原稿です。