喉の違和感

冬は寒さや乾燥の影響で喉の違和感が生じやすくなる季節です。発熱や咳、鼻水、喉の痛みなどを伴うときは何らかの感染症の可能性もあるので注意が必要ですが、何となく喉が乾いてイガイガする、声がかすれるといった軽めの不調であればツボ刺激で改善することがあります。

東洋医学の理論では、呼吸器系に関係が深い臓は肺であり、その異常は手の太陰肺経に現れると考えます。また、臓と表裏関係にある腑にも異常が現れやすいため、呼吸器系の場合は手の陽明大腸経も確認してみると、肺気の乱れによってこれらの経脈上に圧痛や硬結、張りが認められたりします。合谷や尺沢などのツボを刺激した後に胸まわりが軽くなる、呼吸がしやすくなるといった心地よさを感じ、喉の違和感が改善するようならば良い反応が出ていると考えられます。顎下にある廉泉のツボは、唾液分泌を促すことで喉が潤いやすくなります。

他にも、肩まわりにある臂臑のツボは、嗄声(かすれ声)に効果があるとされ、喉の緊張が弛んで声が出しやすくなります。カラオケで歌った後など、声を出し過ぎて喉に負担がかかった時にも試してみてください。

①合谷(手の陽明大腸経)ごうこく

母指と示指の骨が交わるところを確認し、その前方で示指側の骨際に取ります。

 

②尺沢(手の太陰肺経)しゃくたく

  肘を曲げたときにできる横しわの上で、上腕二頭筋の腱の外側に取ります。

 

 

③上廉泉(奇穴)じょうれんせん

  前正中線上、下顎の真下のくぼみに取ります。

 

④臂臑(手の陽明大腸経)ひじゅ

  上腕外側、三角筋の前縁と上腕骨が交わるところに取ります。

  肘窩横紋の外側端にある曲池のツボから上方7寸(10横指分ほど)になります。

 

 

author:工藤 匡(鍼灸科学科長)

※暮らしと健康の月刊誌「ケア」2023年1月号に掲載された原稿です。