顔のこり

新型コロナウイルス感染予防のため、長期間にわたりマスク着用の生活が続いています。大声での会話や人前での笑顔が少なくなった影響なのか、表情が硬くなり、顔のしわやたるみを気にする人が増えているという話を耳にします。そこで今回は、顔のこりについて東洋医学の視点から考えてみます。

寒い冬でも顔だけは衣服で覆わなくても大丈夫ですよね。それは、顔は陽気が特に盛んな部位であるため。東洋医学では、身体を陰と陽の経脈が流れると考えますが、顔を流れるのは陽の経脈。陽は陰に対し、温かい、明るい、動きやすいといった性質を持ちます。それで、顔は身体の中でも温かく、血色や表情に富んだ部位となるわけです。本来、陽気が盛んな部位なので、顔は動きが良いのが望ましい状態。表情が乏しくなると、筋肉が使われず硬くなり、また表情が乏しくなる…といった具合に悪循環に陥ることが心配されます。マスク着用の生活はまだまだ続きそうですので、顔のこりをほぐすツボを試してみてください。顔の筋はとても薄いので、優しい力加減で気持ちよく押してみましょう。

 

【紹介するツボ】

①顴髎-けんりょう(手の太陽小腸経)

外眼角(目じり)からの垂線上で、頬骨の下縁にあるツボ。

 

②迎香-げいこう(足の陽明大腸経)    

鼻翼(小鼻)の外縁中点の高さで、鼻唇溝(ほうれい線)にあるツボ。

 

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③地倉-ちそう(足の陽明胃経)

口角から小指の横幅1本分ほど外方にあるツボ。鼻唇溝あるいはその延長線上に取ります。

 

④頬車-きょうしゃ(足の陽明胃経)

下顎角から中指の横幅1本分ほど前状にあるツボ。歯を噛みしめると咬筋が緊張し、力を抜くと陥凹するところに取ります。

 

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author:工藤 匡(鍼灸科学科長)

※暮らしと健康の月刊誌「ケア」令和3年1月号に掲載された原稿です。