風邪

 

寒い時期は、“万病の本”とも呼ばれる「風邪」に注意が必要です。東洋医学の理論では、衛気(えき)という気が皮膚を守り、外邪が体内に侵入することを防ぐと考えます。衛気は腠理(肌のきめ・毛穴)の開閉を調節し、汗の分泌を正常に保つ役割も担います。疲労やストレスなどで気虚の状態になると、衛気の力も弱くなり、外邪の侵入に対する抵抗力が落ちてしまいます。特に、汗をかいたまま風に当たって身体を冷やすと、開いた腠理から風寒の邪が侵入しやすくなります。衛気の力がある程度保たれている場合には、外邪は身体の深部まで達することができず、皮下で衛気と外邪が争う際に悪寒や発熱、頭痛などの症状が現れます。この風邪の引き始めである表寒証の状態の時には、解表(げひょう)といって身体を温め、発汗を促し、風寒の邪を体外に追い払う対処法を取ります。生姜湯を飲んだり、葛根湯などの漢方薬を服用するのは、この解表の効果を期待してのことです。身体を温め、発汗を促す効能があるツボは、後ろ首や背中に多くあります。予防的にもお灸が効果的なのですが、ちょっと難しい場合にはドライヤーで温めるなどの方法を試してみてください。気を補う効能が高い足三里のツボ刺激もお薦めします。

 

【紹介するツボ】

①大椎(督脈)

後頸部の後正中線上で、首を前屈した際に最も隆起する第7頸椎棘突起の下縁に取ります。

 

②風門(足の太陽膀胱経)    

  上背部にあり、第2胸椎棘突起の下縁と同じ高さで、後正中線の外方1寸5分(母指の幅で1.5本分ほど)に取ります。大椎のツボから2つ下の棘突起が指標となります。

  

 

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author:工藤 匡(鍼灸科学科長)

※暮らしと健康の月刊誌「ケア」2022年1月号に掲載された原稿です。