腕の疲れ

新型コロナウイルス感染の影響もあり、今年は自宅でインターネットを利用する時間が増えていると思います。パソコンのキーボードやスマートフォンの画面を操作する際、私たちの腕には無意識に大きな負担がかかっています。

指先を細やかに操作するためには、手の筋だけでなく、前腕の筋も数多く使われます。手指や手首を曲げる筋のいくつかは上腕骨の内側上顆、伸ばす筋のいくつかは上腕骨の外側上顆という部位から始まります。

肘を曲げるとできる横しわの内端・外端の皮下に骨の出っ張りが触れられます。この部分を押して痛む場合、内側上顆なら手掌側にある曲げるための筋、外側上顆なら手背側にある伸ばすための筋に疲れが溜まっているサインかもしれません。

また、手指を動かす筋群は前腕の深部からも始まるため、前腕にある橈骨・尺骨という2つの骨の間を刺激するのもよい方法です。

今回ご紹介するツボを心地よく押圧し、徐々に腕が軽く感じられるようなら適刺激です。腕の疲れのほか、首肩コリが楽になる場合もありますので、1日に数回、ツボ刺激を試してみてください。

 

【紹介するツボ】

①少海(手の少陰心経)

   ⇒肘を深く曲げてできる横しわの内側端と、上腕骨内側上顆との中点。

②曲池(手の陽明大腸経)

   ⇒肘を深く曲げてできる横しわの外側端の陥凹部。

③支溝(手の少陽三焦経)  

 ⇒手関節背側にできる横しわから3寸(4横指分)肘寄りで、橈骨と尺骨の間。

④間使(手の厥陰心包経)  

 ⇒手関節掌側にできる横しわから3寸(4横指分)肘寄りで、前腕の前面中央に触れる2つの腱(橈側手根屈筋腱と長掌筋腱)の間。

 

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author:工藤 匡(鍼灸科学科長) 

※暮らしと健康の月刊誌「ケア」9月号に掲載された原稿です。