身近な症状とツボのお話

本校では、6月21日開催分より、3密を避けながらオープンキャンパスの体験授業をスタートさせています。

今回のブログ授業は、6月21日に実施した「身近な症状とツボのお話」です。

講師は前回と同じ、「経絡経穴概論(けいらくけいけつがいろん)」「臨床実習」などの授業を担当している志田貴広先生です。

 

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当初はテーマに沿う形で「身近な症状をいくつか挙げてその代表的なツボをご紹介する」という構成を考えていたのですが、今回はちょっと趣向を変えて「東洋医学に基づいたツボの選び方」の入門編から授業をさせて頂きました。

1.ツボについて
一般的に「ツボ」と呼ばれているものを私たち鍼灸師経穴(けいけつ)と呼んでいます。この経穴は人の体に361種類もあり、それぞれ経穴は経脈(けいみゃく)という縦の線によって結ばれ、内臓につながっています。授業ではすべての経穴を取り上げて一つ一つ覚えていくのですが、当日は参加者の方全員に1点ずつ経穴人形を手に取っていただき、ツボの多さをまずは実感していただきました。

 

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2.頭にあるツボはみんなだいたい頭痛のツボ!
 身近な症状の一つである頭痛を例に、ツボを考えてみました。実は、頭にあるツボの多くが頭痛に効くとされています。ツボには「局所効果」があるといわれているからです。でも、私たちは頭痛の患者さんを診る際、頭にあるすべてのツボに鍼を打ったりはしません。そんなことをすれば、のぼせや気分が悪くなるなどの悪影響が出る可能性があることを知っているからです。
 鍼や灸には「適切な刺激量」があります。もちろんそれは個人個人違いますし、同じ人でもその日の体調によって変わります。そこで、私たちは四診(ししん)といって、見たり、聞いたり、話したり、触ったりして患者さんの状態を見極め、鍼や灸の適切な刺激量を判断しています。
ちょっとわかりにくいと思うので、「サウナ」で例えてみましょう。サウナは血行を良くし、健康維持に役立ちますよね。でも、長く入りすぎるとのぼせてしまいます。サウナが好きな人、サウナが苦手な人、様々いますよね。これはその人の体質によって「気持ちよくサウナに入ることができる時間」が違うことを意味しています。そして、その日の体調によってもその時間は変わります。実は鍼や灸にもサウナと同様に血行を良くする効果があるので同じような側面があるのです。そして、サウナと違って患者さん側で鍼や灸の刺激量を調整できないので、刺激量の調節を私たち鍼灸師がする必要があります。これが簡単そうでなかなか難しいのです。そのため、鍼灸治療では患者さんとのコミュニケーションが重要視されています。

 

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3.東洋医学とは
では、東洋医学に話を移しましょう。東洋医学はざっくりいうと「身体のバランスを整える医学」です。(実際の授業では「ざっくり」いかず、「じっくり」やりますよ!)
バランスを取るには物事をいくつかに分けなくてはいけません。今回の体験授業では、物事を2つに分ける「陰陽(いんよう)」という考え方と、物事を5つに分ける「五行(ごぎょう)」の考え方をご説明させて頂きました。

 

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4.身体の調子は五臓のバランスでできている。
東洋医学において最も大事なのは五臓(ごぞう)という5つの内臓のバランスです。五臓とは、すなわち肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)の5つです。体験授業では、現代医学における内臓と五臓が異なることや、それぞれの大まかな働きをお聞きいただきました。東洋医学は全体を見ることを大事にしているので、大まかなイメージをつかむことがとても大事なのです。

 

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5.五臓のバランスを整えるには
五臓のバランスは5つのうちのどれかが弱くなったり、強くなったりして崩れます。どの五臓にどのような変化が起こっているかは、先述した「四診(ししん)」という方法で調べますが、今回の体験授業では割愛させて頂き、崩れた五臓のバランスを整えるためにツボが活用されていることをお話ししました。ツボは経絡という通路でそれぞれの五臓とつながっているため、ツボに鍼や灸をすると、その刺激は五臓に届きます。適切な刺激をツボに与えることで、私たちは五臓のバランスを整えることができるのです。

 

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6.首や肩の痛みに関するツボ
体験授業では、身近な症状に「首や肩の痛み」を挙げてツボを選んでいきました。痛みが急性か慢性かで使うツボを分け、参加者の皆さんの状況を聞きながら、実際に貼るタイプの鍼を体験して頂くと、ほとんどの方が首や肩の変化を実感されました。貼るタイプの鍼は全く痛みが出ないものを使用したのですが、このような弱い刺激でもツボを使うことで体に変化を出すことができます。このあたりも鍼の面白いところです。

 

 

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さいごに
当日は付き添いで来られていた方に「首や肩の変化が実感できて、鍼灸に興味がわいた」というご感想を頂きました。担当者としては嬉しい限りです。鍼灸はとても面白い治療法なのですが、まだまだ世間に認知されているとはいえません。今後も体験授業や学校説明会を通じて少しでも多くの方に鍼灸の魅力を伝えていきたいと思っています。この記事をお読みいただいている皆様も、ぜひ本校の体験授業や学校説明会にお越しください。決して損はさせませんよ!(笑)
教職員一同、皆様のご来校を心よりお待ちしております。