健康の要の一つとして“食”が挙げられますが、その食の入口である口腔は、私達の全身状態に大きな影響を及ぼすとして注目されています。
そこで今回は、「歯の痛み」について東洋医学の視点から考えてみたいと思います。
歯の痛みの原因には虫歯や歯周病が関係することが多く、この場合には当然ながら適切な歯科治療が必要になります。
しかし、虫歯や歯周病が認められないにもかかわらず、歯や歯茎の調子が優れないと感じることがあります。
東洋医学では、辛いもの・甘いもの・油っこいものを偏食し続けると胃や大腸に熱が生じやすくなり、この熱が手足の陽明経と呼ばれる経脈に沿って顔面に伝わり、歯や歯茎を傷つけると考えます。
老化による虚証タイプとは異なり、この実証タイプでは歯痛や歯肉の腫れが強く、胃や大腸の熱によって口臭や口渇、便秘などを伴いやすいという特徴があります。
赤みの濃い舌、黄色っぽい舌苔も熱の所見の一部です。
該当する場合には日頃の食習慣を見直しつつ、歯痛を鎮める顎まわりのツボや、胃腸の熱を冷ますツボの刺激を試してみてください。
author:工藤 匡(本校教員、附属臨床センター長)
※暮らしと健康の月刊誌「ケア」7月号に掲載されました。