ひねもすのたりのちびっ子かな

 

 半袖で歩く人もいたほど暖かい日が続いたある春の週末、街中でふと気づいたことがありました。

 

ショッピングモールにも駅のコンコースにも親に抱かれた乳児や手をひかれた幼児がたくさんいたのですが、意外に静かなのです。泣く、わめく、だだをこねる――ちびっ子の騒がしさ3点セットが方々で聞かれても当然なのに、その週末は不思議なくらいに穏やかな感じでした。これ、本当。

 

春の陽気のせいに違いない。そう思いました。こんな日は子どもの気分がいいから、いつもより素直になるでしょうし、大人だって気持ちがのんびりとして、些細なことで子どもを叱ったりもしなくなりそうです。どちらも機嫌よく過ごせるので、あの穏やかな雰囲気になるわけでしょう。

 

人間の心や身体の働きが自然と相応している――東洋医学にある「天人合一」という考え方に改めて思い至ったのでした。

 

草木が若芽を出したり、花を咲かせたりする春。虫たちが動き出し、動物の生殖機能も活発となる春。「天人合一」の原理によれば、人も同様で、身体の奥でおとなしくしていたエネルギーが、そろそろ活発に巡りだす時期です。

 

ということは、あの日ちびっ子たちが静かにしていたのは、つかの間のアイドリングで、すぐにもトップギアでの大暴れが始まるのでしょうか?

 

東洋医学でいう「肝(かん)」は、エネルギーを全身に巡らせ、身体に陽気を満ち溢れさせる働きをします。そういえば、子どもたち、みんな肝の調子が良さそうですものね。一方、肝がスムーズに働かないと、のぼせや鼻炎、生理不順などの症状が現れやすくなります。

 

そんなちびっ子の元気がうらやましい大人に、あの元気さを少しでも取り戻す方法があります。身体のエネルギーの巡りを促進するために、いつもより早起きして運動したり、酸味・甘味のある食べ物を摂ったりしてはどうでしょうか。ツボ療法では、太衝(たいしょう)、印堂(いんどう)、太陽(たいよう)を押してみると症状が緩和されるかもしれません。

 

試してみて、ものすごく元気が出てきても、泣いたり、わめいたり、だだをこねたりしないでくださいね。

 

もちろん、東洋医学の原理は、冒頭で述べたような素朴な実感にとどまるものではありません。長い歴史の中で、その原理や応用は精緻に体系づけられてきました。

 

そんな東洋医学鍼灸の面白さ、奥深さをもっと知りたくなったら、お気軽に北海道鍼灸専門学校の学校説明会・体験授業へ

 

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