人間の体は、ほとんどが水からできています。成人では体重の約60~65%が水分。したがって体重50kgの人では、うち30~32kg程度が水です。2リットルのペットボトル15~16本分になります。置き場所が悪いと邪魔でしょうがないくらいの量ですね。
ちなみに胎児の水分割合は90%、新生児は75%、子どもは70%です。やはり子どもは、みずみずしい。
一方、老人に至ると水分割合は50~55%にまで下がります。生きるとは少しずつ水分を失っていくことなのかもしれません。しんみり。
さて、身体の水分のうち3分の2は細胞の内に含まれ、残り3分の1が血液やリンパ液などとして体内を循環します。こうして身体を浸し、身体をめぐって生命を維持しているのが水分ですから、何らかの原因で代謝(入れ替わり)が悪くなると、さまざまな不調につながるのも当然です。
その代表例が、脚のむくみです。他にも、身体の重だるさ、関節の重痛、食欲不振などが生じやすくなります。
「何らかの原因で代謝が悪くなると」と書きましたが、この原因を東洋医学では、「痰(たん)」や「湿(しつ)」の増え過ぎ、と考えます。簡単に言えば、身体の水分の過剰・停滞ということです。冷たい飲食や油物の摂り過ぎで胃腸の働きが弱まったり、足腰の冷えが続いたりすると起こりやすくなります。
簡単な自己診断もできます。鏡で舌を見てください。舌がボテっと大きく、舌の上の苔(こけ)が粘っこく厚くなっていませんか。もしそうなっていたら、「痰(たん)」や「湿(しつ)」が増えているサインかもしれません。
では、脚のむくみを解消するには、どうしたらよいでしょうか。
直接的には、脚のむくみを軽くするための靴下・ストッキングの着用や膝下のセルフマッサージがすぐに試せます。そしてもちろん、「足三里」「豊隆」など、水分のめぐりをよくするツボの刺激も有効です。
間接的な対処も大切です。脚のむくみが生じやすいのは、胃腸の働きが低下したり、足腰が冷えたりする時なので、そうならないよう食生活をはじめ生活環境を整えましょう。
水、水分の重要性を人間は昔から本能的に知っていたでしょうが、水分を健康づくりや病気治療の理論に組み込んでいち早く体系的に考えたのは、東洋医学なのです。
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